世間の幸福観はあなたを幸せにするのか
大学に行く、医師や弁護士、ビジネスでの成功、お金持ち、長続きする一夫一妻制の結婚、持ち家、子供を持つ、健康…。←こんなことを一つ一つ達成していくと幸福の階段を一歩上がった気分になる人は多いと思います。そこから外れると自分を恥じたり。ソーシャルメディアが誕生してからその傾向は大きくなっているような…。
Paul Dolan著 「Happily Ever After: Escaping the Myth of the perfect Life」
London School of Economics and Political Sciences(イギリスロンドンの一流大学です。)の教授ポール・ドーラン氏は著書「Happily Ever After」で、行動科学の観点から社会通念上の「幸せの条件」と実際の幸福度の関連性が極めて低いことを述べ、一つの社会通念がすべての人に当てはまるべきだという考えに警鐘を鳴らしています。だれもがHappily Ever After (ずっと幸せ。めでたしめでたし)になる「完璧な人生」とは「神話」にすぎないとバッサリ。
目次を覗いてみましょう♪
目次
1.裕福
2.成功
3.教育
4.結婚
5.一夫一妻制
6.子供を持つ
7.利他的、愛他的
8.健康
9.職業
上記のような項目で、ドーラン氏は一般に「幸福の条件」と言われているものが人々を本当に幸せにしているのかを検証しています。
例えば、収入と幸福度に関して、アメリカでの調査を紹介しています。
収入の最下層では収入の上昇に伴い幸福度も上がっていますが、その後高収入になると
ガクッと幸福度が下がったそうです。
年収10万ドル(約1千120万円)以上の人々より年収2万5千ドル(約280万円)の人々のほうが幸福度が高かったとのこと。
また、職業と幸福度に関しては、一般的に収入が高く「良い」職業と考えられている弁護士と、
弁護士に比較して年収が低いとされている花屋の幸福度を調査しました。
結果87%の花屋が幸せだと答えたのに比べ、弁護士で幸福だと答えたのは64%だったそうです。
結論として「こうあるべき」と世間で言われる幸福観、その単一的な「神話」を基準にした選択や人との比較が人を不幸にしている可能性を指摘しています。
ソーシャルメディアの普及で拡大する単一的「幸福観」とアウトサイダーが感じる惨めさ
スマホでSNSを覗けば、InstagramやFacebookでリア充アピールが溢れかえっています。
「友人が贅沢な結婚式を挙げた」とソーシャルメディアで知ると、
独身やそれだけのお金をかけられない経済力の人は自分をみじめに感じたりします。
ドーラン教授曰く、もともと人間は自分の身近な人が何らかの形で成功を収めると、
それが自分にとっての幸せか検証せずそれに続こうとしてしまう傾向があるそうです。
今はスマホで世界中のリア充を手軽に覗ける時代。
世界の幸福感が単一化していき、その社会通念を基準に多くの人が自分の幸不幸を決めたり、
勝ち組、負け組と分類したり、外れた人たちを裁いたり…。
ドーラン氏は
「社会通念に従って生きることと、本当の自分の幸せとは異なる可能性のあることを自覚する必要がある」
と述べています。
もっと稼がなければ、もっと成功しなければ、健康でなければ…。
際限のない、「もっと~しなければ」をエンジンに進んでいくと、
人生はハムスターが回し車をぐるぐる回るように際限なく走り続けなければならなくなり、
幸せにたどり着けずに疲れ果ててしまうかもしれません。
本を読んで感じたこと
この本を読んで改めて大事だと思ったことは
☆世間で言われている「幸せのものさし」がまず自分に本当にあっているのか考えてみること。
☆自分の「ものさし(基準)」で自分の幸せを作っていくこと。(その「ものさし」は変化していくことも)
☆人の幸せを自分の「ものさし」で測らない、裁かないこと。
社会一般に言われる「幸福観」からズレていたって、それが自分の軸にあっていれば幸せなんです♪
インスタやFBの「リア充キラキラ」と比較して自分の「ものさし」がぶれないように。
一人一人がみんな違った「幸せ」をソーシャルメディアにアップして(しなくてもいいけど)、
一つの価値観に縛られない一人一人の生き方を謳歌していけたらなあと思いました。
それからドーラン氏はSNSの危険性に警鐘を鳴らしていましたが、
私はすべてのソーシャルメディアが幸福観の単一化を助長しているとは思わず、
twitterやブログを読むことで「多様な幸せのものさし」を知れたり、
発信することで自分らしい幸せのあり方に自信を持てるようになっていく人もいると考えています。
私自身、ツイッターをはじめて救われました。
あとは、何を達成、所有すれば幸せになるというより、
幸せを感じるかどうかは何事も考え方、とらえ方次第なのかもしれないとも改めて感じました。
マインドフルネスにも通じる内容だと思います。
ありのままの自分を受け入れること。
自分の幸せは自分の中にあること。外に目を向けすぎると混乱する可能性もあること。
まずそこからスタートして、自分らしい幸せを追求していくことのすばらしさ。
「これはただの自己啓発本ではない。よりよい社会を作るための声明(マニフェスト)だ。(サンデー・タイムズ紙)」
とあるように、「一人一人が独自の幸せを追求しそれを認め合える社会」の提言として素晴らしい本だと思いました。
GWでもお時間のある方はぜひ読んでみてください♪
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