多動性、不注意、衝動性の3つを症状の特徴とする神経発達症もしくは行動障害です。ADDといわれる多動性の少ないタイプもあります。
多動性:じっと座っていられずそわそわ、もじもじする。しゃべり続ける。
不注意:気が散りやすい、細部のミスが多い、忘れっぽい、目の前の作業に集中し続けることが難しい、興味のないものにすぐ飽きてしまう。
衝動性:気分の変動が激しい。自分の順番を待てずに割り込む。言動に安定性がない、順序だてて考えずその場の感情を優先しがち、論理が飛躍しやすい。
症状が日常生活と学習に支障をきたす場合に障害と診断されます。小学校入学時にルールが守れず発見されることが多いようです。
以前は大人になると症状がなくなると考えられていましたが、近年では成人でADHDと診断される方も増えています。
注意力を維持できず、時間管理が苦手で締め切りや約束の時間を守れなかったり、筋道を立てて情報をまとめることが苦手だったり、感情的になりやすいなどの特徴があり、職場でのミスや人間関係の問題につながることもあります。
学習障害やアスペルガー症候群と併発することもあり、二次障害でうつ病などを発症することもあります。
また自律神経失調症を発症しやすく、疲労感やだるさ、不定愁訴を抱えている人も多いようです。
ADHDの過活動性から睡眠に問題が起きることも多く、また睡眠不足がADHDの症状を強めるといった関係性も指摘されています。
原因はまだはっきりしていないそうですが、遺伝的な要因もあるとされ、育て方や本人の努力で完治することは難しいといわれています。
しかし適切な治療(心理療法・薬物療法)と環境調整で症状を緩和することが可能だそうです。ADHDを専門的に診てくれるところを探すことが大切です。
心理療法では本人の心理教育以外に、ペアレント・トレーニング(発達障害の子供を持つ親が育て方や接し方を学ぶ)などで本人の特性に合った環境を周りが整えることも大切です。
薬物療法は日本ではストラテラ、コンサータ、インチュニブ(子供に)がADHDの適応薬として認可を受けています。他にも漢方薬や食餌療法なども紹介されています。
ウェイト・ブランケットが集中力や注意力の強化に役立つでしょう。
またADHDの人が陥りやすい不安感や睡眠障害の改善にも効果があり、これが普段の過活動や衝動性を落ち着かせることにつながります。