発達性トラウマについてー参考図書①

PTSD

トラウマと発達障害、HSPについての記事を書くにあたって引用した本のご紹介です。

今回は発達性トラウマについての本を2冊ご紹介します。

1.「子どもの脳を傷つける親たち」友田明美著

友田先生は「第四の発達障害」と言われる、幼児期のマルトリートメントが脳の発達に影響を及ぼし発達障害のような症状を起こすことを提唱されています。この本では、マルトリートメントがどういった症状を引き起こすか、様々なケーススタディを紹介。薬物療法以外にも「支持的精神療法」、「曝露療法」、「遊戯療法」、「EMDR」等、傷ついた子どもの脳を回復させるための治療法も書かれていて、大人の治療にも参考になります。マルトリートメントをしてしまう親もかつては被害者だったケースが多いことに言及し、負の連鎖を断ち切るための提案もされています。また愛着の形成の大切さも説いていらして愛着障害についても書かれています。

興味深かったのがオキシトシンの経鼻剤の紹介。オキシトシンは「愛情ホルモン」とも呼ばれる物質で、偏桃体の過剰な興奮を抑え穏やかで愛情に満ちた気持ちにさせてくれるホルモンで、自閉症やPTSDなどにも有効ではないかと期待されているそう。日本では販売されていませんが、海外ではオンラインで買えるようです。

オキシトシンは人とのスキンシップやコミュニケーションで分泌されやすくなるそうですね。ペットとの交流も良いかもしれません。以前テレビでぬいぐるみ型の抱き枕でオキシトシンが出やすくなるという特集を見たことがあります。

↑これは私も愛用しています♪

マッサージも効果的だと言われていますし、Weighted blanketに包まるのも良いそうです。

オキシトシンが分泌されると心が穏やかハッピーになり、コミュニケーションや睡眠の質の向上にも役立ちます。

オキシトシンについても今後詳しく調べてみたいと思います。

 

2.「他人とうまく関われない自分が変わる本」長沼睦雄著

長沼先生が書いた「発達性トラウマ」(幼少期の育ちの中で受けた傷)についての本です。

幼少期に受けた心の傷が大人になってからどう感情のコントロールや人間関係に悪影響を及ぼすか紹介されています。

発達性トラウマというと、暴力や暴言などの虐待や子育ての放棄(ネグレクト)などを連想しますが、日常で起こる一見「ちょっとしたこと」と思われるようなことでもトラウマになりうること、そこから発生したものも含めて「発達性トラウマ」について語っています。また、トラウマ体験は思い出すのも辛いことが多く、記憶の奥にしまいこまれていて、自分にトラウマがあることすら自覚していない人もいるようです。

うつや気分障害、不安障害、発達障害、人格障害と診断を受けてなかなか治らない人の中には、この発達性トラウマが隠れているケースが多々あるようです。

発達性トラウマを抱えていると、自己肯定感がかけていることが多く、それが人間関係に大きな影響を及ぼします。長沼先生は発達性トラウマを抱える人が苦しみやすい人間関係を、大きく2つに分けて説明しています。

①他人の言動に振り回され、他者に依存しやすい

自己肯定感が育たず、自分に自信がなくなると、他人に嫌われることへの恐怖や見捨てられる恐れ、バカにされる不安が人一倍強くなります。愛情や承認を求める気持ちばかりが強くなり・・・人の言動に振り回されやすくなるのです。このタイプの方は、・・・「依存」が起きやすいタイプでもあります。

②「親密な関係」が築けない

「自信のなさ」や「愛情を求める気持ち」の現れ方が①とは反対になります。関係する相手と距離をとりたがるのです。近づきすぎておたがいに傷つくぐらいなら、最初から親密な関係にならないほうがいいと思うのです。

(p27-29)

また、心の傷だけでなく、幼児期のトラウマによって実際に脳や神経系が変化し、コミュニケーション能力に悪影響が起きたり、刺激やストレスに過敏になることも説明しています。

発達性トラウマを抱えた人が人間関係で具体的にどのような問題を抱えやすいか、何を意識すると良いかも詳しく書かれています。そもそもの原因であるトラウマの解放の仕方も紹介されています。

この本の素晴らしいところは、問題を浮き彫りにするだけでなく改善方法も丁寧に書かれていること。そして難しい言葉は使わずに分かりやすく書かれているところも魅力です。

 

 

 

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